今日は中国二十四節季の一つ秋分です。
中国二十四節季とは中国古代から太陰太陽暦で季節を調節していくために設けられた、
黄道上の24個の標準になる点を二十四節気とよびます。
太陰太陽暦では毎年の日数が同一ではなく、暦日と季節の関係が変動して、
そのずれは、大きい場合1か月ほどにも達します。
このずれをなくして季節を調整するために、1年の長さを冬至から始めて24等分し、
各分点を太陽が通過するときの時候を表す名称をつけて、これを二十四節気と称します。
1か月に2分点ずつを割り当て、先のものを節気、後のものを中気と名づけ、
これに月名を冠して、二月節啓蟄(けいちつ)、二月中春分というように称する、
これは平気法といわれるもので、節から節まで、
中から中までの日数は30.44日であるから、1暦月より長いので中気を含まない月が
生ずる。この月を閏(うるう)月とします。
ところが清朝の時、時憲暦になって、
地球からみて太陽の通る黄道の上に冬至点から始めて15度ずつの24分点を設け、
太陽がこの点を通過するときを二十四節気としました。
そうすると太陽が黄道上を15度ずつ進む日数は不等となるが、
実際の時候を表すことになる。これを定気法といいます。
閏月の置き方は平気法と同様であって、中気のない月を閏月とするが、
冬至はかならず11月に、春分は2月に、夏至は5月に、秋分は8月に含まれるようにし、
閏月はこの規定に反しないように挿入します。なお中国の二十四節気は、
2016年にユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録されました。
黄道に沿って運行する太陽が天の赤道を北から南へ通過するので,
昼間の長さと夜間の長さとがほぼ等しくなります。この日は秋分となります。
昔中国では,秋分の期間を5日を一候とする三候 (雷始収声,蟄虫坏戸,水始涸) に
区分しました。
これは雷鳴はなくなり,虫も地中にひそみ,水も涸れはじめる時期の意味であります。
秋分の日から空気も爽やかに澄み、過ごしやすい季節になります。
暑さも徐々にやわらいで身体もほっと落ち着きますが、高温多湿の夏に変わり、
秋は「乾燥」が気になる季節です。夏に比べるとずいぶん過ごしやすくなりますが、
気持ちのよい爽やかなこの季節にも体調を崩す要因は潜んでいるので油断は禁物。
中国漢方では、人間の身体も自然界の影響を強く受けていて、
自然とのバランスを保つことで健康を維持できると考えます。
では、秋に気をつけたい健康のポイントは何でしょう?
中医学の基礎となっている「五行学説」から考えてみましょう。
まず、秋は空気が乾燥しやすい時期なので「燥」の季節にあたり、
「燥邪」の影響を受けやすくなります。
燥邪の影響を一番受けやすい臓器は「肺」です。
肺は、鼻やのど、気管支などとつながっているため、
特に「肺」を中心とする呼吸器系の不調に注意が必要です。
そのほか、秋にあたる「大腸」「皮膚」なども燥邪の影響を受けやすくなっているので
不調のサインを見逃さないようにしてください。
中医学では、現在の体調は一つ前の季節の養生によってつくられるものと考えています。
秋に身体を整えることは、冬を元気に過ごす準備にもなります。
寒い冬に備えるためにも、心身ともに今からしっかり養生しましょう。
「燥邪」と「肺」の対策は秋養生のポイントです。
毎日食事で「燥邪」を発散し、体の内側から潤いを補給しましょう!
「辛散燥邪」という言葉があります。辛味が燥邪を発散してくれます。
そのため、使う食材は生姜、大根、紫蘇、葱、白菜、菊、三つ葉などとなります。
肺を潤い食材には、咳や肌の乾燥を防ぐ効果があります。
咳に良いのは梨、牛蒡、蓮根、百合根、杏仁、銀杏、ミカン類、
肌に良いのは、白木耳、棗、鶏、ゴマ、豚足、はちみつです。
中に梨は、不足しがちなビタミン類が豊富に含まれているだけでなく、
肺を潤してくれる食べ物です。
特に梨の皮には、のどや肺を潤して咳を止める生薬として用いられます。
他に水分不足を補う食べ物に、サトイモや長イモ、松の実、
クルミ、豚肉、イカ、ハマグリなどがあります。
秋のうちに必要な栄養を取っておくことが、冬の寒さに備えることにもなりますから、
さっそく実行してみましょう。